01. 童祭

本当は一曲目だったのです(CD-R版だと焼きミスで最後になってた)。

リファインに際して、成長の過程をみる意味で録りなおそうとしたんですが、私の体調最悪だったためにこのときよりいいテイクが取れなくて、そのまま収録になりました。まぁ、そんなもんだろう。


02. メメント・モリ

KamSさん×姫上沙月せんせ『幻想復古』のPVで一部界隈で有名になってしまった曲。

「秘封アレンジで、『秘封倶楽部の物語』ではない表現をやる」という自分の中では禁じ手をやった最初の曲だったわけですが、この後、シイナフユキ君が幻想復古にインスパイヤされ相方のRF君がインスパイアされ、まさかの7次創作まで。元々、『幻想復古』とこの曲はまぁ完全に別個の二次創作であるわけですが、楽曲についていえばまぁイザナギオブジェクトの衝撃が強すぎた、これにつきる。何年ぶりだったんだっけ。忘れもしない。全く別個のイメージだったものが結果的に作品世界を広げた、というのは同人創作ならではだなと。

「サブカルチャーの世界で表現に携わること」への非常に個人的な心情表明で、この時期に前後して、リアルな創作方面の人間関係でちょっと色々あったりして思うところがあったわけです。ライブに際してアレンジ一新したけど収録が間に合わなかった。

リリースの二月くらい前、かつて夜通しコンテンツ制作と現実の殴り方について語らってた知人とは特にすったもんだも色恋沙汰もなく、約半年の同居を経て婚姻関係を結ぶ運びになったんですが、何がどうなってこうなったのか僕にもよくわからない。なので、リファイン版誰に一番きかせたいかっていうとあれなんだけど、「留守を重ねて日が暮れた」みたいな顛末なのはいつもどおりなのだった。


03. しあわせをさがして

もっと背景の深読みとかして欲しい曲なんだけどマイナーサークルゆえあんまり話題になってなくて悲しいので敢えて喋らない。誰かやって。関係あるようなないような話なんだけど、亜求30歳合同「あした死ぬかも」を買いそびれたことを未だに後悔している。たかのんせんせの漫画よみたい!!

阿求って妖怪たちから敬意に近いものを払われると同時に、身のまわりのあらゆるものへの愛着、愛情深さゆえに小さいものたちからすごい愛されてそうなイメージがある。のであの猫のカットを見たとき「わかる!すんごいわかる!!!!」って思いました。


04. brilliant days

知人からの依頼で作ったあと、諸事情で二年ほどお蔵入りになってたやつを録り直したら意外といい感じになった曲。もともとデュエットとして作ったので、「妖怪と人間のすれ違いの物語」「人間側による語り、対旋律でにとりのテーマが入る」というアイデアが最初にあった。小林泰三・手塚治虫・あとなんか。

その後、『玩具修理者brilliant days』を制作してくださったKamSさんとこんな話しをしていたのだけれど、
https://togetter.com/li/513539
今話すと(まとめでも語っていたかも)、単純に時系列の推移の表現で、ジェンダーの混乱って発想はなかった。私の中では、「僕/私」のジェンダー的な境界はそもそも存在しなくて、単純に、少年とも少女ともつかない子どもから、自らを第三者として語れる大人になったというくらいの意味しかなくて。KamSさんの世界観は非常に蠍座的だと思っているんですが、「極性があるゆえに混乱が起きる」というのは、すごいならではだなぁと思いました。あと動画のにとりがくっそ可愛い。本当に可愛い。


05. 貴方へ

そういえばこのCDわりとストーリー性高い曲多めですね、っていうのと、そういえば#1、「秘封倶楽部ボーカルアレンジCD」と銘打っている割に(実際そうなんだけど)主人公が秘封の二人ではない曲が多い気がするんですが全くそうでないとも言えないというか、原作の作品世界がふたりの少女の内面にオーバーラップして見えるのに当人たちは平然としているところが深読みを誘うというか。罪深い。


06. 拗れた蝶番

もっと深読みとか(略)……誰かやって。語って。たのむ。


07. まぼろし

劇団文七「水蜜桃」PV提供曲。近親相姦と、物語中の聖白蓮をめぐるムラサの心情を套ねた歌なんだけど、「からくれない」「水蜜桃」「ノブレス聖」あたり、野田さんとこの聖白蓮サーガを全部押さえてないと意味がわからない可能性がある。読んで(今から買い始めた場合、どこまで遡れるんだろう…)


08.誰が為の祈り

フハハハ、精々頑張るんだな!……のやつじゃなくてあくまで未知魅知バージョンのアレンジ。大事。まぁ震災直後、色々思うところがあって作ったんだけど、あそこで自分の楽曲の「読み替え」を出してきてくれる神主はえらいと思う。


09. who calls me

ダークステップっぽいの作りたかったんだけど今きくとリズムちがうよねっていう。16ビートのスローダウンじゃない。人間は誤りを繰り返して大人になるのですね。

雛山雛は好きキャラなのでもう少し掘り下げたいんだけど、幽閉サテライトさんの新譜のジャケットを見ていたらなんだか満足な気がしてきた(2017年3月現在の心境) 祓詞におけるハヤサスラヒメとか表象としてめちゃくちゃ好きなわけです。地の底に広がる花畑。そういえば最後はそんなイメージでピアノ弾きました。書いてから、三回くらい読み返すまで忘れてたけど。


10. Vaya con Dios

追加アレンジ。超克というか、「人間が人間を止める話」が好き。#2だと「ロア」とか「パラード」とか。元々、5年前の時点で収録予定曲を二分冊する前にプロトタイプを作ったまま、歌詞が書けなくてそれきりだったものなんだけれど、結構大幅に音が変わった。

初代幽香~ex幽香~西方幽香~幽々子~花映塚幽香の接続性って個人的にすごい気になるとこで。幽香の色相のスライダを端っこまで動かすと幽々子のカラーリングになって吃驚したことがあるんだけど、特に関係ないかもしれないです。作業工程的なアレなのか、256色的な何かの都合なのか。紫が女性的な側面を持つのに対して、幻想郷の『父性』を一手に背負うが故に常に第三者でありつづけるみたいなイメージがあって、思い馳せるところはあるけどなかなか曲が書けなかったので、今回やれて良かった。花、太陽、無償の愛の象徴であるはずなのに振る舞いは苛烈、という矛盾性。

すごいトランス状態で作業を進めてたんだけど、サビの変拍子を打ち込みが若干追い切れてないの気になるというか。前向きに捉えるならドリームポップというか後続のフェスタとミックスの作りこみが大差ないのがあとからきくと心に刺さる。どうなのでしょうか。 


11. フェスタ

これも未知魅知CDで作ろうとした曲だったので、かなり前のアレンジなんだけど、今きくと直球に秘封!!って感じがして好き。ここまでストレートに歌詞が秘封倶楽部やってるのは自分には珍しいのではないか。いや、「思君楼(秘封処女作、東方アレンジ二枚目)」以降、秘封ばっかり20曲か30曲くらいは書いてるから…ボーカルアレンジを書いた数だけなら最多狙えるのではとひそかにおもっている。

前にodyさんと話してたんだけど、原作秘封の好きなところって、悲劇百合っぽさじゃなくて薄氷の上をスキップで滑って行きそうな「軽さ」、圧倒的な多幸感なのである。しかし、旧約酒場以降、まっとうに(作中世界的にも)フリークス化していく感じがあって、あれ、ここまでやるんだ、みたいな。ありがとう神主。いつまでも待ってます。

音がだいぶローファイだったりノイズ乗ってたり。台詞部分は聞き返すと恥ずかしい。