書きすぎたのであとで消すかもしれない。

 

例の例によってプレスが間に合わなくて…
Twitterのほうでは告知してましたが、本日10/30の科学世紀のカフェテラス&M3-2016秋、
新譜は東方アレンジ・秘封倶楽部オムニバス中心、「Japanese Dream#2」です。
ここ二年ほどのミニアルバム収録曲などの大幅リファインを含む全11トラックになります。

サークルスペースは本人参加は京都です。楽08。
M3はK14b。こちらは、オリジナル旧譜「蜂蜜色の宙のした」、101号室制作のADV「あなたのたましいにやすらぎあれ」関連本なども置きつつ、南風先生が面倒を見てくださることになっています。

提供曲では、「幻想が終わらない」の「幻想で逢いたい」サイドに、オリジナル楽曲として書き下ろした「parade」、これが前衛バレエ「パラード」のオマージュ(ジムノペディとサティつながり)で
都市伝説合同に寄稿した、都市伝説×ハーラン・エリスン、都市伝説というよりはフォークロア、「都市を生きる人間が神話に接続される物語」的なお話として、「原風景」、蓬莱伝説のイメージをさらに接続した「ロア」の二曲。
正直一曲一曲語ると長いんですが(「幻想が終わらない」の歌詞txt読んだ方は前者についてはご存知かとおもいますが)今回は割愛。

これと、ミニアルバムのJapaneseDream#1.55から「僕らの幻想」「待ち人かく語りき」「あした行く空」
これはもともと311の震災直後に出された「未知の花、魅知の旅」と、同時期に出た神霊廟のSTAGE1に寄せたアレンジです。この時期から突然ZUN氏の作品がコンテンポラリ性を帯びたように感じてまして、自分が幻楽団作品に対して感じた、「幻想と共に今この瞬間を生きること」への一曲一曲が非常にハイボリュームな作品になってます。東方アレンジであるところの二次創作性と、私個人の語りの境界をふわふわと浮遊するような、そういう強い酩酊性、わりと個人的に(いろんな、というかここ一種間ろくに寝てないし食べてないし徹夜続きにやっと六時間寝て臨んだライブ出演帰りで残り30枚ライティングしつつこいつを書いてるわけですけど)限界に臨んで作った曲ばかりなので、どこまで楽しんでいただけるか、期待と共に怖さもあります。

#1.55収録曲は、どれも、勇気と希望の両義性、みたいなものを含む楽曲です。
幻想少女たちの勇ましさの表現、ていうのが、自分にはどうしても難しくて。
ESQUARIAさんへの歌詞提供でもチャレンジしていたけれど、あっちは歌うのがCHICACOちゃんだったり椿さんだったり葉月ゆらさんだったり、トラックメーカーもエネルギッシュな方ばかりで。自分でつくってうたって、だと厳しいけどやっぱりやりたかった、というのが、何年も向き合い続けて、やっとできた感じがあります。

今日、RFくんアレンジでライブでやらせてもらった#1収録の「メメント・モリ」「イザナギオブジェクト」は、「コンテンツ創作への、作者の強い問題意識」ある種の問題提起と、戦う意思表明みたいなメメント・モリはあのとき歌えたけれど、まぁ私自身のエネルギー的な問題というか、勇気のうたとしての未知魅知と明日ハレの日のアレンジは、納得いくかたちで作れなかったし、歌えなかったわけです。「夏が終わるまで」の刹那性にしろ、やっと音楽にできた、と思うし、それがこういう形で聴いていただけることに、多少なり達成感はあります。

東方アレンジ的には秘封ばっかりつくって7年だよー……7年だよ。信じがたい。私はほんとうに狭い界隈の中で細々と作り続けてきたので、なんか「秘封いいよね」って言われてもこの人のいう秘封は何なんじゃろかという感じなのですが。みんな好き好きに投影できるモチーフってすごいと思うんですよ。ラブリィ≒イコールの話をするか。

それはそれとして、おそらく主流の解釈として秘封=悲劇、みたいなやつがあって、私はそこから入ったし、それも好きなんだけど、いまの私が彼女たちに見るのは、断絶があるから新しい世界が生まれうる、境界という薄氷の上を涼しい顔でけらけら笑いながら(おそらくは内面に相応の、東方project的な少女性を抱えて)歩いていく、けして同じものは見えないからこそ手をつないだときに遠くへ行ける、そういう、圧倒的な孤独と、圧倒的な希望であるわけです。

悲劇性や感傷性のカタルシスも個人的には愛するところで、そういう方向に好きな作家さんもたくさんいるんですが、ただ、神主の描く秘封倶楽部はなんというか、ベクトルの引き合った拮抗点に立っているところがあって、「絶望のはんたいがわ」をちゃんと表現したい、という野望は、魅知未知以降、強く喚起されていました。希望は予定調和ではなく、絶望こそが予定調和でも、わたしたちはいくつものエントロピー極大の可能性の向こう側に立っているわけです。今。ジャストナウ。

彼女たちは、そこで「楽しい」と笑うのです。
その強靭さに、憧れとか尊さとかそういうものを覚えます。

秘封同人で、もちろん個人的に存じ上げていて、しっている(特に小説の方が多い)作家さんはみなさんすごいと思っているのですが、私が私の作品で語るのは、一貫して、原作の彼女たちに見出した私の強烈なシンパシーと、彼女たちを通してみた勇気と希望と絶望です。
「二次創作として共有される秘封倶楽部の普遍的イメージ」みたいなものからちょっと距離を感じていて、わりと偏屈な作品づくりをしているのですが、私はやっぱり原曲であり原作に強烈な魅力を感じているのだと思います。うまくいえないのですが。キャラクターと世界の両方を、激しさと切なさで語る音楽。断絶したふたりの少女によって紡がれる神話と、そのすっとぼけた語り口。そこに横たわる、無数の共感可能性。まずい。断絶とか言い出すとユリ熊嵐とピンクフロイドの話をはじめてしまう(「the wall」)。

あれとも違くて、なんだろう、もっと漠然としていて、もっとありふれて、けれど明確な、アーキタイプに限りなく近いキャラクター性が存在していて、そこが、「秘封」という題材がたくさんの作家さんやファンを惹きつけるところなのだろうな、と思います。

これらと、「私の名前はディスノミア」は用明二年のノブレス・オブリージュから。5曲の中からどれをリファインするか迷って、今回は敢えて、身体性、生物性に根付いた人間の業ををうたったこのタイトルを選んだのですが、音源から全とっかえしてたらフル化が間に合いませんでした。実は最後まで作りかけているので、何等かの形で外に出したい。他はおよそ、納得いく形に間に合わせました。死。ちなみに、スケジュールが破綻した最後の理由は箸休めだったはずのインストうち2曲もボーカルいりのハイボリュームになったことです。あうあう。

そんなわけで私は今大絶賛死にそう(おなかすかないし寝てないし風邪がずっと治らないし寝れないし麻イチでポスター印刷にいかなきゃいけない)で、盛大にブレイクしたスケジュールに最後までつきあってデザイン作業とDTPとアセンブリに尽力してくれた藪君はほぼ二徹後出張、ライブ前にマスターアップさせねばならず、オロオロしながらお願いしたマスタリング作業を別のお仕事の間を縫って協力してくださった柏木るざりん氏、日付がかぶってスペースに出れないところお願いしたM3頒布担当の南風先生、無茶な日程でデュプリケートマシンを回してくれたにュウ君、毎回体力が持たずにスケジュールをブレイクさせる私をぎりぎりまで待ってくださった合同誌主催様方(というか海綿さんと和紀さんと菊壱さん)、関係者の死屍累々な本作、あなたがあなたの人生を順調に死ぬための透明でうつくしいたべものとして提供できましたら幸いです。どうぞお楽しみください。

あと「お前Key Sound Label好きだろ?」って感じがすごくする作品になってると思います。
わりとあっちこっちリスペクトとかオマージュとかあるけど、今回の顛末的にはそんな感じ。
みんな好きだろLovesongとnostalgia!!!(めんどくさいオタク感)

数時間前に終わった京都秘封前日ライブですが、今回、ADHDの治療薬を導入した結果、ものすごい無理がきくようになった結果、ラスト二週間でなんとか追い込めたのですが、結果、ライブの準備が十分にできず……メメント・モリうれしかったです! って方がいらっしゃるのは、あれは東方projectアレンジ、あるいは二次創作の切り口として新しいものが見えた作品だったので、すごい感慨深いんだけど、初めてのオケを使ったライブに参加させてもらって、挑戦の方向とかいろいろ見えたので、またなんかリベンジしたい。したいですね。

以上、深夜の告知でした。うう。頭いたい。眠りたい…
東京での頒布は関係者の尽力によりほぼ確実です。
京都は私が事故に逢ったりしなければ大丈夫です。なお旧譜は、まったく間に合わなくて前作ボーカルフルアルバムのJD#1が一部、オリジナルの「蜂蜜色」が数部になります。むりだった。精力的にライブして作品出してるサークルさんの体力とか運営体制ってどうなってるの……

ちなみに秘封的に出したい作品はいまのところあと3枚あって(ここに「思君楼」のリメイクが含まれる)
うちは基本、オリジナルサークルなんですが、一方で、ずっと「彼女たちの音楽」の表現にこだわってるわりに、ジャンルが盛り上がろうが何しようが毎回落としたり死にかけたりしてるような残念サークルですが、走れるかぎり作ってると思うので(というか制作ペースをあげたいし今回で可能性が見えたのでライブもしたい)、以前から追いかけてくださっている方も、今回はじめて手に取っていただく方も、なにとぞ。ありったけ詰め込んだ感情(主に感傷性と希望と絶望と勇気)、楽しんでいただけると本当にこれ以上うれしいことはありません。

ジャケットイメージ、かなり渾身の作なんですがなんだか董子ちゃんの話がぜんぜんできなかったぞ。
これと、あと「ロア」についてもいつかお話したいかもしれません。
まとまりのない告知でした。